ウランバートル港C2岸壁

ウランバートルは内陸だろ!いい加減にしろ!という人はAISでその辺の船の船籍港を片っ端から調べろ

JMETS練習船完全ガイド ~船内設備編~

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練習船3船の過程を終了し下船してきました。乗る前は不安に思ったものです。「はたしてどんなろくでもない環境で実習をしなければならないのか」と。そんな実習生もたくさんいるでしょう。噂はいろいろ聞いてるが実際の船内がどんな感じなのかがわからない、調べても載ってない、一般公開では居住区が見れない、「日本丸 船内」で調べると横浜の先代ばっか出てくる…etc。

そんな皆さんのために船内の様子をお届けします。

私が乗ってきたのは銀河丸、日本丸、大成丸の3船です。青雲丸、海王丸は残念ながらないのでご了承ください。たぶん似たようなものです。

 

実習生居住区

まず一番気になるのが生活空間。居室から見ていきましょう。

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銀河丸の居室

まず銀河丸。広いです。銀河は通称銀河ホテルとか豪華客船とか呼ばれています。初めて乗った時には「別に普通では…」となりますが、他の船(特に帆船)に乗った後だとやっぱりホテルやんけ!となります。6人部屋です。

どの船でもそうですが、運が良ければ空きボンク(ベッド)ができるので、荷物置き場にできます。

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日本丸

次に私の世界一嫌いな船、帆船日本丸の居室。圧倒的狭さ。まぁ自衛隊とかと比べたら快適でしょう。狭いことに変わりはありません。なんか赤いのが掛かってますが、これはイマーションスーツ。総員退船部署操練でこれを持っていく必要がありますが、まあ収納がめんどくさい。船舶救命設備規則上では汽船の練習船旅客船扱い(第一種船)となっていますが、帆船は第三種船なのでイマーションスーツの配備が義務付けられており、各ボンクに設置されています。

さらに日本丸、下の引き出しが2つあるという利点はありますがロッカーの高さが通常の半分なのでクッソ使いづらいです。

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大成丸

大成丸です。キレイです。銀河よりは狭いですが、比較的環境はいいです。

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大成丸のボンク。右上の棚はすべての船にあります。下段だと船によっては高さがキツキツで本棚にA4が入らないという悲劇が起きます。

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日本丸。左が頭。あろうことか頭上にこの本棚があるので、起き上がった時にぶつけます。目を怪我したらどうするんだと。どこを見てもクソ船ですね。

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ありがたいのはライトとコンセントが頭上に備わっていること。充電できます。これは全船共通。

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洗濯室。上が日本丸、下が大成丸。日本丸は2台しか映ってませんが、この時2台故障していたので実際は4台です。そうです4台。実習生は100人前後います。ちなみに銀河は7台。青雲丸も7台のようです。海王丸もおそらく3~4台でしょう。

日本丸の故障中の2台は二層式です。帆船は揺れるので新しい洗濯機だと振動を感知して止まるらしく二層式にしています。別にクソボロではないです。

洗濯機はまぁ取りあいになるので使用予約のホワイトボードがあります。なので思ったほどストレスにはなりません。それ以上にストレスになるのが乾燥室(写真ナシ)で、まぁクソ狭いです。銀河はまだマシでしたが丁度上の大成丸の洗濯室くらいの広さ(たぶんもうちょっと狭い)に100人近くが干すのでまぁ乾きません。ロープ式且つ揺れるのでハンガーが寄る、洗濯物が落ちる、さらにはハンガーや服が盗まれることもよくあります。ちなみに部屋干しは禁止されます。

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大成丸のトイレ。大成丸以外の船は海水洗浄なのでトイレの使い方が少し独特です。銀河丸とかは結構トイレが詰まるので、排水管をワイヤーブラシで擦る地獄の大掃除がありますので覚悟するように。

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各船とも冷水器が完備されています。基本的に水分補給は推奨されているので当直中とかに飲んでも士官に何か言われたりはしないです。

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大成丸の食堂兼第一教室。銀河丸は食堂が教室と別にあります。そのため逆に食堂は銀河丸が一番狭いです。

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食事の一例。当然ながら司厨部が乗っているので食事は毎食出ます。なお大成丸は皿洗いを当直班が行うので割と面倒です。

各港を出港した直後は寄港地の名物なんかが出ます。写真は門司出港直後なのでなんとフグ刺し。この食費は税金で賄われるので文字通り税金泥棒を楽しむことができます。国民の血税で食うフグ刺しは最高だぜ!

船橋

船橋当直は1班(20人前後)から片グループ(10人前後)で入ります。当直交代時はもちろん倍入ることになります。その上でご覧ください。

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大成丸の船橋。最新設備が整っています。

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この通り広々としています。

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銀河の船橋も似たような感じで広々としています。これに実習生40人近く入ったことがありますがそれでもまだ多少の余裕がありました。

ではくそ船日本丸船橋をご覧ください。

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この恐ろしい狭さ。この中に実習生17人+士官二人+Q/M1人の計20人が入ります。クソ狭いです。

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後ろの海図台。こちらも狭いです。もうあらゆる点が最悪って感じですね。

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もっとも日本丸固有のクソさというよりは昔の船の標準といった感じですね。ただし今は平成も終わりの2018年なのでどちらにせよクソです。

甲板

こうはん。かんぱんとは滅多に言わないですね。ただしこうはんで変換できないことが多い。船用語は入っていないのばっかりなのでイライラします。船橋とか。

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日本丸の船首部。帆船は全部木甲板です。

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そう木甲板。木甲板といえば地獄のタンツー甲板流しです。

時代遅れの精神論に取りつかれているJMETSという組織では未だに甲板流しとかいうクソの役にも立たないことをやらせているのですが、まぁ冬は地獄です。夏場はそうでもないです。

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銀河丸の後部甲板。真冬に裸足でやります。ええ地獄ですよ、氷点下の小豆島でやらされました。基本的にはあんまり寒い(といっても氷点下くらいまで行く場合)となくなるんですがたまにこういうことがあります。

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しかしご安心ください、大成丸ではチーク材を廃止しているので所謂椰子摺りではなくスコッチブライトでゴシゴシやるだけです、裸足にもなりません!青雲丸も自殺騒動があったからかゴム靴を履くそうです。じゃあ甲板流しやめろよと言いたくなりますがまぁJMETSなんて組織内での連携がヘタな組織なんで船間のそういった連携もしてないですし、そもそも甲板の清掃自体は必要ですからね、航海の後とか普通に結構汚れます。

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大成丸と銀河丸の船首。

見比べてみて大きな違いがわかると思います。そう、ムアリングウィンチ(係留索を巻く機械)の有無です。

じゃあ日本丸はどうしてるのかって?

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人 力 で す

穴で嫌な予感がするでしょう、そのとおり。よく奴隷がやらされている棒をみんなで押してぐるぐる回す奴。あれをやらされます。まぁウィンドラス(錨鎖を巻き取る機械)にも巻き付けて使うんですが、とにかく人力が多いです。

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諸事情により帆走訓練を中止している帆船ですが、帆走時の操舵機試運転はこのクソでかい舵輪を回すらしいです。1回転で舵角1度だそうで。片舷35度なので…

まぁ、帆走訓練は二度と再開しないでほしいですね。もうあんなものは見たくありません。

詳細は調べた上で察してください。

 

機関室

もちろん機関室当直もあります。エンジンルームはなかなか目を盗んで写真を撮るのが大変でした。

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銀河丸機関室。広いです。まるで工場のよう。2サイクル7シリンダという変わったエンジン(三菱7UEC43LSⅡ)を積んでいます。

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軸室は比較的涼しくて静かなのもあって定番のサボりスペース。あろうことかプロペラ軸がむき出しで回ってる危険スペースなのでサボっちゃダメですよ!

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日本丸機関室(写真は友人提供)

狭い、低い、暑い!やはりくそです。中段とか本当に天井が低いので高身長腰痛持ちにはつらいものがあります。左舷機減速機左舷側から軸室前に向かう場所の感温筒に足をぶつけやすいので注意。私は累計15回くらいぶつけました。

2軸船なのでエンジンも2機あります。つまり始動操作や試運転、計測が増えます。

機関室内は5月でも40度くらいまで上がりました。とにかく熱いです。

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大成丸機関室。エンジンはオーソドックスな4サイクル6シリンダの新潟原動機6MG34HXです。比較的コンパクトにまとまっていますが日本丸のような狭さは感じません。

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大成丸制御室。銀河は制御室広いです。逆に日本丸はこの半分くらいの狭さです。

とにかく全部狭いですね日本丸は。

その他

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大成丸クレーンデッキ

大成丸は一般的な貨物船の後部船橋配置に近づけて実際の貨物船の視野感覚で実習できるようにしているため、後部甲板が狭い代わりに前にクレーンデッキなるものがあります。体操は半分がこちらでやります。

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大成丸居住区通路(上甲板右舷通路)

言うほど狭いという感じではないですね。

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日本丸居住区通路

横幅だけは広いです。そこを削って居室を広げろと言いたいですが諦めて廃船を訴えましょう。

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日本丸マスト

一番上まで裸足で登らされるんですよ。あろうことかあの斜めにかかっている縄梯子です。非人道的でしょう。陸の現場職の方々は卒倒する安全意識の低さでしょう。

帆走中止しててもこのヤードを回す作業はあります。もちろん全部人力です。

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銀河丸第一教室

学校で座学を終えて練習船では全部実習なのかなと思いきやそうではありません。講義があります。そしてテストもあります。基本的に学校の試験よりやる気が起きないのでまぁボロボロ赤点取ります。

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日本丸救命艇

嫌な予感がするでしょう?ええ、カッターです。動力なんてついてません(1号艇だけついてます)。艇の降下/揚収に使うボートフォールも人力です。この船はヤベェ沈むぞ!って時にもオモテトモボートフォール引けーーーーーー!!!!!わっしょい!わっしょい!とかやって人力で下ろした後に人力で漕いでいかなければならないのです。もう一度言いますが今は2018年です。

というかこの船1984年就航なんで一般的な船よりはクソ古いとはいえそこまでの骨董品ではないんです。それでこのザマですから何考えてるんでしょうかね。

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一方の大成丸救命艇。66人も乗れる最新型の救命艇です!キャーかっこいい!

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汽船練習船には実習船橋なるものがあります。シミュレーターがあったり、航海中に航海船橋とは別で実習生が主体当直を行ったりします。深度化実習後のデッキ選択がやるのでエンジン選択の私は詳しくは知らないです。

 

船内紹介はざっとこんなもんでいいでしょう。次回は練習船生活の内容などを書いていきます。